01. "Eleanor Rigby"
02. "Never Can Say Goodbye" (Intro: "I Want You Back", Outro: "I'll Be There")
03. "Global Mindfulness"
04. "You’ll Never Find Another Love Like Mine"
05. "Love's Theme"
06. "Street Life" (Intro: "What A Wonderful World")
07. "Superstition"
08. "Inner City Blues" (Intro: "Come Live With Me Angel")
09. "What's Going On"
10. "Lovin' You" (Intro: "On Love" or "Windows Of The World")
11. "Soul Food Cafe"
12. "I Want You"
そうだ、この音。この音だよ! 2年半ぶりのデヴィッド・T・ウォーカーの来日公演。ここ数年は毎年のように日本にやってきてくれた印象のあるデヴィッド・Tだが、マリーナ・ショウ公演で前回来日したのが2016年7月、Band Of Plesure公演での来日が2016年1月で、自身のバンド名義での来日は2015年8月以来。随分久しぶりのような気分だ。昨年10月にはベスト盤『Music For Your Heart 〜Best Of David T. Walker〜』もリリースされ、満を持しての来日。待ち遠しかったファンも、ライヴは初めてのファンも、それぞれが「この音」を目の当たりにしたくて会場に足を運んだはず。ふたを開けるとその通り、愛に満ちた音色が観客を大きく包み込んだライヴとなったのだった。
ステージはビートルズナンバー「Eleanor Rigby」のカヴァーで幕を開ける。続くジャクソン5の「I Want You Back」のイントロから「Never Can Say Goodbye」へと突入する流れはここ数年の十八番的展開だ。サビのメインテーマ箇所で低音階から高音階に弦をスライドさせて駆け上がっていくフレーズがバンドメンバーの音色と合わさると、美しくきらびやかなデヴィッド・Tの音世界が瞬時に開花。会場全体が一気にその世界に引き込まれていく。
さらにデヴィッド・T特有の東洋的音階フレーズを巧みなコードワークとともに奏でながらオリジナル曲「Global Mindfulness」にスイッチ。テンション高く躍動が全開したあと、間髪入れずルー・ロウルズのカヴァー「You’ll Never Find Another Love Like Mine」からラヴ・アンリミテッド・オーケストラの「Love's Theme」へとステージは続く。ライヴ中、メンバーと阿吽のアイコンタクトをとることが多いデヴィッド・Tだが、特に「You’ll Never Find Another Love Like Mine」では、以前ルー・ロウルズのバックバンドの一員として長年ライヴツアーを共にしたキーボードのジェフ・コレラとのそんなやりとりが際立ってもみえた。
さらに「What A Wonderful World」のフレーズをデヴィッド・Tのギター一本で静かに柔らかく奏でたあと、テンション高いンドゥグのドラムが鳴り響いてクルセイダーズのカヴァー「Street Life」へ。イントロ箇所をはじめ、低音階から高音階まで大きく動くコード変化が必要とされるこの曲でデヴィッド・Tのコードワークと弦のタッチは実に美しく映え、左手の動きだけをみていても惚れ惚れするうっとり度200%の所作だ。途中、バイロン・ミラーがワウエフェクトを駆使したベースソロを披露しながらバンドアンサンブルは躍動し続ける。緩急と起伏、振り幅の大きなダイナミクスこそデヴィッド・T・バンドの真骨頂だ。
ステージ後半はスティーヴィー・ワンダーの「Superstition」からマーヴィン・ゲイの「Inner City Blues」と「What's Going On」へとモータウンナンバーが続く。ンドゥグのドラムが起点となって始まる「Superstition」では若き日のファンクネスを彷彿とさせながらもじっくり弾力感をにじませながらフレーズを刻むデヴィッド・Tの姿が。続いて、静かに場面転換をはかるように「Come Live With Me Angel」をデヴィッド・Tのギターのみで奏でたあと、バイロンのベースソロも途中に交えたダークな色合いの「Inner City Blues」から、高揚がクレッシェンドしていく「What's Going On」へと連なっていく流れはまさに高低差ある緩急の至福。会場の盛り上がりが一つのピークを迎えたかのような華やかなアンサンブルとストーリー性あふれるステージングに、心ときめく瞬間が何度も訪れる。
10. "Lovin' You"
6thアルバム『On Love』、Rainey Walker Band『Rainey Walker Band』、Band Of Pleasure『Live At KIRIN PLAZA』(※再発盤のボーナストラックのみ)に収録されたミニー・リパートンの歌声で知られる名曲カヴァー。
11. "Soul Food Cafe"
1989年にデヴィッド・Tが組んだ同名ユニット名義でのアルバム『Soul Food Cafe』に収録され、バンド・オブ・プレジャー『Live At KIRIN PLAZA』にも収録。
12. "I Want You"
1976年リリースのマーヴィン・ゲイの名作『I Want You』収録曲のカヴァー。David Tの13作目『Thoughts』や、チャック・レイニーとのユニット「レイニー・ウォーカー・バンド」の『Rainey Walker Band』でもカヴァー収録された一曲。ベスト盤『Music For Your Heart』にも収録。
●メンバー紹介:
Jeff Colella (Piano, Keyboards) ジェフ・コレラ
ルー・ロウルズのバックで長年デヴィッド・Tと活動をともにした鍵盤奏者。1990年のルー・ロウルズ来日公演にはデヴィッド・Tとともにバンドメンバーの一員として来日。デヴィッド・Tのソロ活動の中では、90年代のソロアルバム『...from My Heart』『Dream Catcher』『Beloved』の3作と、2008年の13作目『Thoughts』に参加するほか、タイロン橋本『Key To Your Heart』でもデヴィッド・Tと共演している。
Byron Miller (Bass) バイロン・ミラー
ハービー・ハンコック、ジョージ・デュークらとのセッションで知られるファンキーベーシスト。80年代のクルセイダーズのライヴツアーでともに活動したのをはじめ、デヴィッド・Tとはスタジオで幾度も顔を合わせた仲。これまで3枚のソロアルバムをリリースし、近年では故ルーサー・ヴァンドロスのバックバンドの一員としても腕をふるったクールガイ。
Leon Ndugu Chancler (Drums) レオン・ンドゥグ・チャンスラー
マイルス・デイヴィスやハービー・ハンコック、ジョージ・デュークらのリズム隊を担ったソリッドドラマー。70年代後半に自身のユニット「チョコレート・ジャム・カンパニー」を率いて『The Spread of the Future』『Do I Make You Feel Better?』の2作をリリース。80年代にはクルセイダーズの一員としても腕をふるい、90年代にもデヴィッド・Tのソロ作をサポート。きらびやかで骨太なリズムとシャープなスティックさばきを披露している。